アトピー性皮膚炎その2   平成14年6月30日転写

 

以下の記事は平成五年(1993)の徳島新聞に載せてもらった私の作文に、内容を大きく変えない範囲で数パーセントほど手を加えたものです。私は十五〜六年前からこのような考えで治療に臨んでいます。

上)
私は昭和62年に開業して以来、食養生・瞑想・鍼灸(しんきゅう)・漢方薬を柱として自然治癒力を高めることにより、難病を治すお手伝いをさせてもらっています。年を追って急激にその勢力を広めつつあるアトピー性皮膚炎も、もちろんそのうちの一つです。

以前は、アトピー性皮膚炎は『幼小児期特有のもので大きくなれば自然に治る』と言われていましたが、大きくなっても治らないどころか、大人になってからアトピーになる人も随分増えてきました。そして大人も子供も、懸命の治療にもかかわらず次第に悪化していく、というケースが多くなっています。

先日来院した女子高校生は、ステロイド軟こうを多用した皮膚がまるで象の皮のように黒く、硬く肥厚し、体毛がそこだけ沢山生えていました。喘息もあります。
半年ほど入院した24歳の女性は、体表面の半分くらいが赤くただれ、ジクジク汁が出ていました。生理がなくなり(入院4ヵ月後に再開しましたが)、肝臓の検査値がかなり悪く、血清蛋白が4.8グラムで、特に下半身がボッテリ腫れていました。「しんどくて、しんどくて・・」。
また、ある男子大学生は、全身の皮膚が乾燥して黒ずみ、強張って、喘息もあります。
皆それぞれに治療を受けながら、徐々に悪化・・・。その上ステロイド(副腎皮質ホルモン)の副作用で絶望と無力感に打ちひしがれているのです。

では、アトピーはどうすることもできないのでしょうか?
決してそうではありません。きちんとやるべきことをやれば徐々に快方に向かっていくことは、数少ないながらも私自身が担当した患者さんが証明してくれています。
ただし長くかかります。病勢・病性によりますが、ひどい人は3年も5年もそれ以上もの養生、治療が必要のようです。特にステロイド軟こうを使った人は、その量に応じて治りにくいようです。

アトピーの治療においてはステロイドを極力使わないことが肝要と考えます。ステロイドが効かなくなる頃には、体全体がガタガタになって、3倍も5倍も10倍もの治療期間が必要となりそうです。ちなみに私は慢性病にはステロイドは使いません。

除去食はアトピーの治療として有力視されています。アトピーを引き起こす原因となる食物を血液検査から発見し、それを食べないようにするのです。その方法で、ある程度は良くなります(なぜ良くなるかは後半参照ください)。それでも治らない人がワラにもすがる気持ちでやって来ます。『もう今日からは除去食はしなくていいんですよ』と言うと、パッと顔が明るくなります。親子ともに大きいストレスから解放される、それだけでも治癒力がドンと高まるでしょう。

下)
「アトピーのために除去食をしているが、ヒエとアワと野菜ばかりで栄養失調みたいになって、元気がなく、おまけに『あれもダメ、これもダメ』と言われてストレスが溜まってイライラしている。その割にはアトピーもあまり良くならない」という質問を講演会などでよく受けます。
結論を言えば、私の医院では除去食はしていません。しなくても治っていくとの結論に達したからです。
米もだめ、麦もだめ、豆も、卵も、牛乳も、と食べるものが本当に無くなって、毎日ヒエとアワばかり食べて、痩せこけて青い顔をした子供をつれたお母さんが時々訪れます。
「何でも食べていいんですよ。ただし・・・」
と説明が終わると、不安に打ちひしがれていたお母さんの顔に安堵の色が浮かび、子供も、その影響を受けて血色が良くなり、元気が出ることがよくあります。

では具体的にどのようにすればアトピーを克服することができるのでしょう?
その原則は以下の3つです。
1) 化学薬品による汚染をできるだけ除く
      (農薬・食品添加物・化学調味料・家畜や養殖魚のエサなど)
2) 皮膚・粘膜を弱くする食べ物をできるだけ減らす
      (砂糖・果物・アルコールなど)
3) 汚染のない水を飲食する
(浄水器・炭などの利用。入浴法、海水浴、温泉)
つまりアトピーの原因のほとんどが飲食にあることは、大方の一致する意見として正しい考えと思います。
そして一番の元凶は『 化学薬品 』ではないかと考えます。
アトピーの出現は化学薬品の人体にたいする汚染度に比例しているのではないでしょうか。

砂糖、果物、アルコールなども農薬、除草剤などで汚染を受けていますが、自然農法のものであっても皮膚を弱らせることによりアトピーにはかなりマイナスです。
飲食物の濃い味や水分の取りすぎは控えたほうがよいようです。特に大量の砂糖と冷水を含むジュース、清涼飲料、アイスクリームなどはアトピーにとってかなり損です。ヤクルトなどは乳酸菌は結構良いものですが20グラムのお砂糖が気になります。2〜3グラムの黒砂糖になれば私は積極的に飲むかも知れません。
果物は大量の農薬を使っているものも多く、アトピーの人は食べないのがいいと思います。折角除去食でがんばりながら、果物は栄養豊富だからと沢山食べている人がほとんどですが、果物を断つだけで随分良くなるものです。
成人病体質つまり老化を早める動物性食品はできるだけ控えめにします。さらに肉の味付けとしてのタレやソースは砂糖や香辛料の塊のようなものです。元気な人と病気を治そうとする人が同じようにしていては治るものも治らなくなります。

私の医院では、お米は完全に無農薬、無化学肥料の自然農法、野菜もほとんどそうです。
その他の材料、調味料もすべて自然食品です。五分づき〜玄米です。砂糖は使いません。重症の人にはあら塩、みそ、しょうゆも使いません。ダシには天日干しの昆布やシイタケ、煮干を使います。穀物菜食中心です。漢方薬・鍼灸・瞑想・呼吸法・手当てなどのほかに、赤汁(ニンジンジュース)、青汁、ヒマシ油シップ / マッサージなどを勧めています。
シャンプーやリンス、せっけん、入浴剤、洗剤 (食器、着物)、下着の材質、化粧品などにも注意してもらっています。練り歯磨きは今日からやめて、空みがき、水だけで磨く、あら塩を刷り込んで磨く、あら塩を水で溶いた濃い塩水を歯ブラシに付けて磨くなどにしてください。

皆さん、安心してください。
原則を守ればアトピーは治ります。
後は症状に応じて、精神的ストレスのないやり方で、どの程度の養生をするかだけです。
焦らずにリラックスして、待ってください。
 

 2000.2.26 芳村GO

アトピー性皮膚炎は人類と地球への警告
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