東洋医学と西洋医学の接点


 

東洋医学は未病を治すと言う。
これは病気が完成する前に病気に成り切らないような手立てを講じて、病気を未然に防ぐこととでも言えば、多分わかりやすいと思う。
つまり病気にならない道がある。
東洋医学はそのようなことが出来る、とされている。
実に、病気のケも無い時に、既に病気を予防出来るようにも思われる。
これらは経験的にも本当のことである。
しかし、病気のケも無い時に病気予防の行動を起こす人がいれば、その人は聖人君子だろう。
『石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に疾病の 種は尽きまじ』
『ケ』とは『気』であり『毛』であろう。
脈の状態(脈診)、おなかの力、呼吸、皮膚の色艶、顔つき、歩き方などなど、そして心の状態などからその人の健康度が推測される。
元気一杯で体力旺盛であるとか、検査で異常が無いとか、自覚症状が何も無いとか、病気(病名)を一つも持っていない、などとは関係なく、その人の未病のレベルを教えてくれる。
未病とは病気予備軍と言うべきものかもしれない。
勿論、已病(いびょう)も治す。已病とは完全に、既に病気である状態とでも言えば分かりやすいだろうか。
15年前の私はすべての病を漢方で治そうと競馬の馬のように、突進していた。
或る時、私が手術した末期的進行がんなどの患者さんたちが10年、15年たってなお元気に、しかも、より積極的に生きていることなどを知らされ、突進は修正され、『接点』を求めるようになった。
今の私は、東洋医学を柱に、西洋医学の長を生かし短を捨てて、医療にはつき物のマイナスをできるだけ少なく、プラスはより多い医療を模索している。

2002.6.5
 


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