漢方薬   2002.6.8

 


東洋医学の治療の二つの柱は鍼灸と漢方薬ということになりそうです。そのうちの一つの漢方薬についていくつかの例を挙げてお話させてください。

漢方薬の材料は『草根木皮(そうこんもくひ)』と言う言葉で代表されるように、自然に存在するものを磨り潰したり、煎じたりしたものです。つまりそれぞれの材料が、一個の生命体として存在できるための沢山の成分を含んでいるのです。『漢方薬には副作用が無い』と言われる元はこの辺りに有りそうです。

漢方薬は長く飲まないと効かないとよく言われますが、実は『急性病には早く効く。即効性もある。慢性病は長く飲む必要がある』ということになります。

漢方薬を出す目安として人の体質・体力を大きく分けると『寒と熱』および『虚と実』となります。

カゼに対して新薬を出す場合は、症状が同じならほぼ同じクスリがでます。

これに対して漢方薬の場合は症状が同じでも『寒証で虚証』ならAのクスリ、『寒証で実証』ならBのクスリ、『熱証で虚証』ならC、『熱証で実証』ならDというように、体質・体力に応じてクスリが変わります。

さらに『寒と熱の中間証』『虚と実の中間証』がありその組み合わせは複雑怪奇となります。

例えば肝炎に対して私は7〜8種類の漢方薬を使ってきた、先人に問うとそれで良いとのことでした。しかし健康保険診療ではそれは不可と知らされたのです。止む無く今はツムラの手帳に従ってクスリを出しているので、治療効果は落ちていると思います。しかし幸いなるかな私には漢方薬以外にも伝家の宝刀的治療法がいろいろあるのでカバーは出来ています。

私は大半が漢方エキス剤なので、どうしても2〜3種類使わないと、沢山の病気や訴えを抱えた一人の患者さんに対応できないことが多いのですが、今はこれも止むを得ず、保険診療のルールに従ってできるだけ少ない種類で治療しています。

漢方生薬とエキス剤とどちらがより良いか、に関してもよく言われることです。私は生薬を使う技術がないせいもありますが、エキス剤で十分な効果を挙げることができたと思っています。
 

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