MacG4導入始末

これまでマッキントッシュパソコンを、比較的よく使って来た。ファイルメーカーProというデーター作製ソフトを使用して読書日誌を作るのもMac、野草図鑑やホームページを作るのもMacだった。

だが、Macの新製品について無頓着できたので、最近のMacについて詳しいことは、なにも知らないでいた。パソコンショップに製品が並べてあれば、好奇心を起こして調べてみる気にもなるかもしれない。だが、当地のショップでMacを扱っているところは皆無なのだ。

Macのマウスを購入しようとして、市内のショップを回ったことがある。どの店でもMac製品を扱っていないことを知った私は、「ASAHIパソコン」のフォーラムに「マウスも買えない地方都市」という嘆きの文章を投稿したら、編集者が電話で、「本当ですか?」と問い合わせてきた。

当市にはNECやLogitecの工場があり、電子機器のメーカーも数多い。そうしたことを知っている編集者が、まさかと思って私に問い合わせてきたのである(この嘆き節は、誌面に載って図書券5K円分の謝礼を貰った)

考えてみれば、こうしたMac不毛の地にいて、(G4というのを買ってみようか)と思ったのが運の尽きだった。通販店から届いた荷を開けて、キーボードを見た瞬間、(これは、まずいぞ)と頭を抱えてしまったのだ。キーボードは黒色で、若者向けにスマートにデザインされている。だが、キーの上に白く刻印されている文字が細くて小さく、実に見にくいのである。

左がMacG4パソコン

70を過ぎれば、老眼もかなり進行している。普通のキーボードの文字すら読み取りにくくなっている身で、こんなキーボードを使わなければならないとしたら、これはもう悲劇というしかない。

それだけではなかった。G4のインターフェースがすっかり変わっていて、手持ちの資産を活用することができないのだ。これまで使っていたMac用外部機器のインターフェイスは、ADBであり、シリアルであり、SCSIだったが、これらを繋ぐポートがG4には、一つもない。つまり、このままでは、モデムもプリンターもMOも、手持ちの外部機器一切が使えないのである。

特に痛手だったのは、インターネットを楽しむ積もりでG4を購入したのに、ISDNを利用できないことだった。

私は呆然としてしまった。Windowsなら、バージョンをあげても過去の資産も使えるような配慮をしている。しかしMacは、新技術を取り込むに急で、その種の配慮を全くしていないのである。

(現物を目にしてから、注文すべきだったな)とこぼしてみる。だが、いつまで嘆いていても、はじまらない。

G4のマニュアルに、AirMacに関する記述があった。それを読んでいるうちに、メルコからAirStationの新製品が出ていること、そしてそのISDNモデルを使えば、AirMacでISDNを利用できるらしいことを思い出した。

ワイヤレス、無線LAN、・・・話に聞いていただけで自分とは無縁と思っていた新しいシステムを取り入れることなしには、G4でISDNを使うことはできないらしい。(思い切って、ワイヤレスシステムを導入するしかないな)と、泣く泣く腹を決める。

しかし私は有線LANですでに家庭内ネットワークを作り上げている。二階の自室と庭先のプレハブ小屋にあるパソコン(Windows、Macあわせて数台)を30メートルのLANケーブルで結んでデータを共有するようにしてあるのだ。改めてワイヤレスのシステムを組む必要など毛頭ないのである。

屋上さらに屋を重ねることを承知で、更なる投資をすることになった。4万円台のメルコWLS-128を購入するほかに、Mac、Windowsのそれぞれに装着するワイヤレスカードを買い込んだのである。

通販店から届いた機材を組み上げて、ワイヤレスシステムを完成する。G4を庭先のプレハブに設置して、母屋二階のAirStationと無線で繋ぐ。そしてISDN経由でインターネットを呼び出すことに成功したときには、ささやかな喜びを感じた。

ワイヤレスシステムを完成させてから半月ほどして、私はふと、G4のインターフェイスを変換するアダプターがあるのではないかと思いついた。

そう思ったのは、2台のパソコンを共通のディスプレイ・キーボード・マウスで操作する装置があり、私はこれを使用してWindowsとMacを一組にして使って来ていた。たが、G4をこの装置に組み込むにはインターフェイスをUSBからADBに変換する必要があるからだった。

果たして変換用のアダプターがあるだろうか。それが分からなかったので、パソコン通信のMacフォーラムに質問をあげてみた。すると、「ある」という返事が返ってきた。

下がG4のキーボード

まわりにパソコンをやっている人間がいない場合、困ったときにはパソコン通信を利用して、ベテラン会員の指導を受けるしかない。この方法で私は、これまで何度か急場を凌いできたのである。

早速、通販で変換アダプターを注文。これを取り付けた結果、G4をWindowsのキーボードとマウスで動かすことができるようになったのだ。お陰で、ようやく、あの見にくいMacのキーボードから解放され、目を痛めずにキーボードを叩くことが可能になった!

この前後にシリアル用の変換アダプターも発売されていることを知ったので、これも注文した。そして、このアダプターを取り付けたら、なんとワイヤレスシステムを使わなくても、ISDNでインターネットに接続できるのである。変換アダプターがあることを事前に知っていたら、高い追加投資をしなくても済んだのだ。

私のパソコン歴には、こうした悲喜劇がつきまとっている。誰でも知っているような基本的な情報を持っていないために、遠回りをしたり二重投資をしたり、時間と金をロスすることを続けてきたのだ。

このことについて嘆いたら、パソコン上で知り合った友人が、それはすべての研究者技術者に共通する問題だと教えてくれた。研究に時間と金がかかるのは、そのためなんだな、成る程ねえ、少し利口になったよ。

私も遠回りをしたために、ワイヤレスシステムを操作できるようになったのだ。これが次のステップへの下地になるのである。重投資を悔やむ代わりに、これを有益な授業料と考えるべきなのである。

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