バイクで登山(山頂編)
頂上に立って稜線を眺めると、V字を逆にしたような形、屋根のてっぺんのような形をしている。この稜線上に道があったら、尾根の両側の展望を楽しめて具合がいいように思う。しかし、そんなことをしたら山越えの風に吹き飛ばされて転落するに決まっているから、道は稜線から少し下がったところにつけられることになる。すると、視野は山の片面だけに限られることになる。
下図は木を伐採した後に、新たに苗木を植え付けようとしているところだ。木を切り出した後がこんなにきれいになっているのは、下草や藪をすっかり切り払ったからで、この作業は相当な重労働だ。
伊那山脈の尾根に登って周りを見回すと、だいたい下図のような眺めになる。稜線にあまり凹凸はない。山肌はこちら側の片面が見えるだけだから、てっぺんまで登って反対側に目をやり、こちらとは全く異なる景観を眺めると新鮮な驚きにおそわれる。
ここまで登れば、南アルプス、中央アルプスが指呼の間に思えたり、遠方の隔絶した存在に見えたりする。
伊那山脈から西方の中央アルプスを望むときには、中間に伊那の谷が挟まっているから、近く見えたり遠く見えたりする矛盾した印象がひときわ強くなる。雲の上に浮かぶ雪嶺が、夢のように美しく映る。
伊那山脈と南アルプスは近接しているから、頂上に立てばその荒々しい山肌を望むことが出来る。
麓はまだ晩秋で紅葉の盛りなのに、バイクで伊那山脈の頂上近くまで登ると、窪地に早くも雪が見える。そして彼方の南アルプスは山肌のかなりの部分が雪壁に変わっている。
目を転じて仙丈岳を見れば、すでに全山が雪に覆われている。