主体性の確立(1)

中三の時だった。学校へ行けば先生が勉強を押しつけ、家に帰れば両親がまた受験勉強を強制する。私は気分がもやもやして「私の人生、どん底だ」と思っていた。

入試も差し迫った3月のある日、いつものように親に反発して、プイと家を飛び出した。母が引き留めてくれると思ったのに、その日の母は知らん顔をしている。

意気込んで家を出たからには、すぐ家には戻れない。家から少し離れた公園に行って、色々考えた。自分のことについて、あんなに深く考えたのは初めてであった。

そして思った、「私は誰のために生きているのだろう」と。

1時間位して、「誰のためでもない、私は私自身のために生きているんだ」と思った。そう思ったら、不思議に気分がさっぱりして、こだわりなく家の中に入って行けた。


主体性の確立(2)

中三の入試も差し迫ったある日、私は世間や親や友人に対する嫌悪感を押さえきれずに一人で家を出た。北風が吹き、外は凍てつくほど寒かったが、頭は妙に冴えていた。

私は自分の人生について考え、生きていることが意味のないことのように思った。そのうちに私は、自分がこんな気持でいるのは自分に主体性がないからだと気がついた。そして今後自分はどう生きるべきか考えたときに、「既成の道徳とか真理とかいわれるものに振り回されないようにしよう」と思った。

「そもそも、真理の決定権は自分にあるのだ」と思った瞬間に、心がぱっと明るくなった。今、自分が生きているのも、このことを信じているからだ。

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