梅と桜が一緒に咲いて
今年は春先になっても寒さが続いていたと思ったら、4月に入って急に温かくなった。こうしたことは雪国や北国で見られる現象で、これらの地方では、おそい春がやってくると、木々や植物が一斉に花をつけるという。
当地も冬の寒さでは雪国にひけは取らないが、これまでのところ草木が一斉に咲き始めるようなことはなかった。わが家に関していえば、春の到来を予告するのは紅梅で、それが咲き終わってから白梅が咲き始め、そのあとレンギョウが咲くというような順序だった。毎年、一定の時系列に沿って庭木が順々に花をつけていたのだ。
桜が咲くのは、紅梅・白梅が咲き終わった後で、梅と桜が同時に咲いているところは見たことがない。ところが、今年は紅梅の咲き出すのが例年より一ヶ月近く遅れ、3月末にようやく八分咲きになった。と思ったら、3月31日に降った20センチほどの積雪にやられるという有様で、とにかく例年と様変わりの天候だったのである。
去年の3月6日撮影。今年は、3月末になって、花の具合が、ようやく、上図の写真程度になった。
この紅梅は、市役所だったか、森林組合だったか、苗木を無料配布したときに貰ってきたものだ。植えたまま、放置しているうちに、こんなに大きくなってしまった。
紅梅の上につもる白い雪というのは、カメラマンが食指を動かしたくなる題材である。だが、私はカメラマンでもないし、アマチュアとしても格別そうした題材に心を惹かれることがなかった。今年は、珍しく雪中の紅梅をデジカメで10枚あまり撮った。
紅梅に雪が降り積もることは、間々ある。だがそれは3月の初め頃までの話で、3月末にこんな情景を目にするのは珍しい。
時を同じくして白梅やら不詳の花木も咲き出した。かくてわが家の庭は、以前に見たことのないような奇妙な光景を現出することになった。紅梅・白梅・不詳の木・桜が一時に花をつけたのである。
左側の白っぽい花が白梅。右側のピンクの花木は、植木市で買ってきたものだが、名前を忘れてしまった。この二つが同時に開花することは、これまで、ほとんどなかった。
わが家の桜には、勢いがない。まだ若い木なのに、幹の皮がぼろぼろ剥け落ちている。こうした「病身」の弱い木めがけて集まってくるのが毛虫で、一昨年、昨年と二年続けて毛虫に丸坊主にされてしまった。しかし、翌年になると、ちゃんと花が咲く。でも、この桜は近い将来枯れてしまうのではないかという予感がする。梢のあたりに宿り木さえ取り付いて、息も絶え絶えという状態にあるのだ。
桜は、母屋から20メートルほど離れて、敷地の入り口にある。玄関先から眺めるには頃合いの距離だ。
紅梅と桜は、玄関先にあり、白梅と不詳の木は裏の畑にある。
左が紅梅、右が桜。突き当たりの白い建物は、アパート。
とにかく急に温かくなったから、久しぶりに埃をかぶっていたバイクを引っ張り出して山裾を走らせてみた。すると、方々の家の庭先で、梅と桜が同時にさいている。途中で珍しい梅の木を見つけたので、バイクを止めてカメラに納めた。本当は家の人に断って、庭に入り込んで,ゆっくり眺めたかったのだが。
上図の写真からは、よく分からないかも知れない。これは枝葉を切り取って胴体だけになった梅の木で,その胴体から細い枝が出て花を咲かせている。不思議なことに、紅梅と白梅の両方が咲いている。後方の里山を借景にした庭も見事で、立ち去りがたい気がした。