ブログをやってみる ブログには興味があったが、ちょっと覗いてみた限りではこれは若い男女の交歓の場になっているらしく、とても年寄りの顔を出すところではないようだった。ところが、思わぬことで、私もブログを始めることになった。
7月の末、遊びに来た孫が二階に上がってきた。美術展に入賞した孫である。
「パソコンを借りてもいい?」
といって、私のパソコンを使ってカチャカチャやり始めた。
「何をしてるんだ」
と尋ねると、「ブログだよ。これで友達と話が出来るんだ」という。見ていると、彼は友達を呼び出し、「コメント」機能を使って、一問一答の対話を始めた。成る程、ブログを活用してチャットをすることもできるのである。
「便利だな」
と感心したら、孫は、「ブログなんて、簡単だよ」といって、私にもブログを始めるように勧める。そして、委細構わず、私のブログを作り始めた。
「背景は何色にする?」
「そうさな」
「<一言メッセージ>は、これでいいね」
こちらが、生返事をしているうちに、彼は<一言メッセージ>という欄に、「訪問者100人を目指せ」という文字を打ち込んでしまった。HPでも何でも、私の書き込んだ文章を読んでくれる人はほとんどいない。私は天下晴れての少数派なのだ。とても、100人の訪問者がやってくるとは思えなかったから、
「オイ、オイ」
と声をかけたが、孫は、「これで、直ぐ使えるよ」といってさっさと帰っていった。この頃の小学生のませていることは、驚くべきほどだ。ブログに書き込む文章は、明るい会話調にする方が良いらしかったけれども、こちらはそんな芸当は出来ない。例によって、長ったらしい、屁理屈満載の文章になってしまう。私には、何となくブログに馴染めない感じがあり、違和感があったが、とにかく一ヶ月は続けて、その後に開店休業にしようと考えた。
ところが一ヶ月続けているうちに、ブログを続けるのが癖になった。ブログは日記の一種だから、あまり考えずに書くことが出来る。それに、書いた文章を直ぐさま登録して公開することも出来るのである。HPに新しく書き込みをするとなると、ちょっとした手続きが必要になるが、ブログにはその必要がないのだ。
びっくりしたのは、「訪問者」の数が多いことだった。
人気のブログには数万、数十万の訪問者があり、コメントも連日こぼれんばかりに寄せられているから、私のブログなどとても比較にならない。だが、それでも二ヶ月余の期間に2500人が来訪しているのだ。よもや100人の来訪者もあるまいと思っていたのに、この数字である。私のブログなどを実際に読んでいる訪問者は少ないだろうから、2500という数字に驚くには当たらないかも知れない。まあ、皆さん、門前を通り過ぎるだけだと思えば気が休まる。しかし、正直に言えば、この数字が私の気を重くさせていることも事実なのだ。そろそろ、ブログを打ち切りにすべきではなかろうかと考えている。