A MINIMAL ADDITION TO THE PROCEDURE ほんのちょっと付け足すだけで、極小のエネルギーで、極大の効果を得ることがよくある。 ほんのちょっとの手間を惜しんだり、面倒くさがったりすることが、後々に大きな失敗につながったり、莫大な手間ひまを余儀なくされるということは何の世界にもよく見られる。 例えば外科手術の場合、6時間の手術の後、30分の仕上げを手抜きしてもその手術は一般的には成功だが、後に患者さんは結構な不便を被ることはよくある。それくらいはたいした不都合ではない、と考えるおおらかな性格の外科医は、それで十分上出来と思うのだろうが、患者さんにとってはその不都合は結構たいした不便や苦痛となりうる。さらに手術においては、ホンのちょっとした付け足しをしないために命に関わることさえありそうに思える。 小積もりて大となる。 ホンのちょっとした付けたしが、積もり積もって、随分たいした付け足しになることに人が気づいた時、その人が何気なくすることのすべては、たいしたモノとなる、かも知れない。 二宮尊徳翁いわく 「大事をなさんと欲せば怠らず小なることを勉むべし。小積もりて大となればなり」 逆に、これくらいは省いてもいいだろう、コレも省こう、アレも省こうと思っているうちに大無精になって、ついには随分大事なことまで省いてしまって、大きなミスにつながってしまう。当人はそれに気づかず、うまくいった、大成功、私は名人だ、ミスの原因は向こうのせいだからしかたがない、などと決め付けて済ませてしまう。 自分が合っていようが間違っていようが、反省してはいけないとの理由は何もない。 うまくいったときにも反省を忘れない習慣は人を成すかもしれない。すべてうまくいったと考えられるときにも、ちょっと付け足して、もう少し何か足してみればどうだったのかと、ほんのわずかでも思ってみるのも悪くないだろう。 とくに手術に際してはこのホンのちょっとが本当に大きくプラスとなると思ったので、私は手術時間を省みず、ホンのちょっとを足し続けた。 実はこの「ホンのちょっとした付け足し=A minimal addition to the procedure 」はあるアメリカの外科手術書の中で見つけた言葉で、コレは手術にはもちろん、人生のすべてにおいて大事なことではないだろうかと、この30年間使わせてもらっている次第です。 |